新武雄市図書館はコスト削減になっていない

@naokages この武雄市新図書館、直営だと年間2億円かかるところをCCCだと1億円ちょっとで管理できるという点がミソ。つまり指定管理者制度導入によって約1億円がコストカットできる。改修費の市負担である4.5億円も数年で元が取れる計算。 #takeolibrary https://twitter.com/naokages/status/322295492967018496

金額を新聞記事からおさらいする。

契約期間は５年で、指定管理料は年間１億１千万円（歴史資料館は委託外）。２０１３年度は管理料に加えて歴史資料館運営費など約２８００万円が必要になる。１２年度の運営費は歴史資料館運営費を含めて１億４６００万円。営業スペースの賃料で約６００万円が入り、差し引きの削減額は約１４００万円の見通し。改修費は市が４億５千万円、ＣＣＣが３億円負担した。
武雄市新図書館、きょう１日開館

指定管理料1億1千万円、歴史資料館運営費2800万円、賃料600万円。
改修費は市が4億5千万円、CCCが3億円。

樋渡啓祐市長は質疑の中で計画通りに年中無休、午前９時から午後９時まで開館すると、直営では２億３２００万円（現行１億４５００万円）かかるとの試算を示し、「直営ではとても無理」と委託のメリットを強調。運営人員の中で司書は９人（現行１５人）になり、自動貸出機を使うため、省力化できるとした。
武雄市図書館、ツタヤ委託を可決　管理料５億５千万円

現行の図書館費は1億4千5百万円、直営で開館時間を延長するなら2億3千万円(試算)。

表にまとめると以下の通り。

費目	指定管理(万円)	直営(万円)
図書館費(2億3千万x5年)		116,000
指定管理料(1億1千万x5年)	55,000
歴史資料館運営費(2,800万x5年)	14,000
賃料(営業スペース)(-600万x5年)	-3,000
改修費(武雄市負担)	45,000
改修費(CCC負担)	30,000
合計	141,000	116,000

指定管理 - 直営 = 2億5千万円

指定管理と直営でそれぞれ5年運営した場合の費用を比べると、直営のほうが2億5千万円安い。

ところで図書館費2億3千万円は、25年度図書館費予算(1億4千5百万円)の1.6倍として算出されている。しかし25年度は新図書館に向け途中で閉館もしているため、予算通りにはなっていない。

そこで21年度から24年度までの平均1億2千万円を1.6倍 *1 した1億9千2百万円 *2 で計算すると次のようになる。

費目	指定管理(万円)	直営(万円)
図書館費(1億9千2百万x5年)		96,000
指定管理計(5年分)	141,000
合計	141,000	96,000

指定管理 - 直営 = 4億5千万円

過去の平均から試算した図書館費をもとに比べると、直営のほうが4億5千万円安い。

以前書いたことの繰り返しになるが、私はコスト削減を目的としない指定管理者制度導入があっても良いと思うから、費用が減らないことについては問題だとは思わない。新武雄市図書館は単に開館時間を延長しただけではないから、費用の比較も単純なものにはならない。

だから今回の新図書館構想の利点をコスト削減の観点で語るのは間違っている。
ちなみに今年度の図書館費は15,311万円で、今回議論している期間で最高となった。

*1 1.6倍の経緯は以下で述べられている。

○樋渡市長〔登壇〕
(略)総額で2億3,200万円になります。その内訳につきましては、人件費が3,600万円の増、これは職員を7人程度増員しなければならない。光熱費については1,700万円の増になります。これについては、日数、時間延長による増加分が1.6倍ということですので、その分の増になります。そして、日数の増加に伴う委託料については3,400万円の増になりますので、繰り返しになりますけれども、総額で2億3,200万円。ですので、図書館全体を含んで1億4,000 万円強が2億3,200万円になるということになりますので(略)
○古賀教育部長〔登壇〕 まず、人件費の内訳から申し上げますと、人件費が金額で3,500万円程度ふえるというふうに考えております。それから、光熱水費ですけれども、これも1,700万円程度ふえるというふうに考えておりまして、委託料につきましては3,000万円を超えるというふうに思っておりまして、全体といたしましては、市長から答弁申し上げましたとおり、1.6倍程度の運営経費になるのではないかというふうに予測をいたしております。
平成24年7月臨時会

*2 過去の図書館費

年度	図書館費(万円)
21	11,625
22	11,447
23	12,134
24	12,480
平均	11,922