多数決のパラドックス

これ、示唆に富むと思うのだけれど出典が分からなかったので検索して見つけたので孫引き。

 私が研究する会社法では、多数決が重視される。しかし、多数決には矛盾がある。
 その一つが投票のパラドックス。A・B・Cの選択肢があり、甲・乙・丙が多数決で選ぶとしよう。甲はABC、乙はBCA、丙はCABの順で選考していた場合に、単純多数決(候補を二つずつのペアにして、どちらを選ぶか投票する方法)を行うと、ABのペアでは2対1でAが勝ち、BCのペアでは2対1でBが勝つ。つまりAよりはBが、BよりCが弱いから、ここで止めればABCの順番になる。しかしACのペアで投票すると2対1でCが勝つのだ。多数決といっても採決の順番で結果は大きく変わり得る。
 こんな問題もある。5階建てマンションで、エレベーターの改修費が議論となった。普段エレベーターを使わない1階の住民は負担を拒んだが、5階の住民は均等割を主張した。多数決で決めることになり、過半数ではしこりが残るので5分の4が賛成する案に従うことになった。一見良さそうだったが、腹を立てた5階の住民の提案と、負担したくない他の住民の思惑が合致し、1階の住民だけが負担する案に5分の4が賛成したという。笑えない話だ。
 多数決の結果が常に正義とは限らない。多数派になった時こそ肝に銘じたい教訓だ。
(以上、中日新聞2月19日夕刊コラム「紙つぶて」から。筆者は中央大学法科大学院教授・野村修也氏)
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さらに筆者と思われるツイートも発見。