デザインイノベーション

「デザイン」が形を作ることだけにとどまらない意味で使われている。 デザインは設計であり、設計の対象はビジネス全体に渡るはずだという信念のもと、大きなビジョンを持ってデザインに臨む姿勢が興味深い。特にアートではなくビジネスであるという力点のもと、戦略と戦術にフォーカスしている。

持続可能な世界を維持するという観点から、デザインしたものが消費蕩尽されるのではなく、長く使われ再利用されることが検討されている。技術の進化によってあらゆる家電が小さなコンピュータになってきているけれど、それらのプロセッサやディスプレイが「ダブっている」という発想は面白い。故障はたいてい全体ではなく部分で、医療機器ならセンサー系とプロセッサ、ソフトウェアで寿命が異なる。モジュール化してそれらを最適なライフサイクルで部分的に交換できれば、より少ない資源で製品をデザインできるのではないかという。確かにその通りだろう。デザインしたものに対する責任感を強く感じる。

例えばケータイなんかも大量に作られ大量に捨てられているわけだけれど、捨てられる理由はバッテリーがヘタってきたからとか、あるいはもっと端的に古くなってきたからということが多く、モノ自体はちゃんと動くことも多い。これらをうまく再利用することで新たなモノを作ることができるだろう。最初からモジュール化されていればバッテリーだけ外してプロセッサを集積して新しいマシンを作ることもできるかもしれない。例えばケータイのディスプレイなどは実際に再利用されているらしいが、再利用のしやすさを設計段階から考えるというのはソフトウェアに限らずハードでも同じなのだなと思った。

Amazon.co.jp: デザインイノベーション 電子書籍: ハルトムット・エスリンガー: Kindleストア