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ロボットの寿命とIoTの寿命

AIBO は単体のロボットで、物理的なサポートの期間がすなわち製品の寿命だった。AIBO は単体で機能するので、サポートの延長/代替が実現されれば単純に寿命を延長することが可能。

IoT はネットワークを必須としており、物理的なサポートとは別にソフトウェアのサポートも適切に受ける必要がある。物理的なサポートが延長されても、ソフトウェアのサポートがなければネットワーク的には脆弱なデバイスとなってしまう可能性があるため、物理的な寿命を単に延長してしまうことが許されるかという問題がある。

IoT のデバイスは物理的な寿命よりもソフトウェアの「鮮度」が大切で、アップデートが適切になされていない「不健康」なデバイスはノードとして機能すべきではないから、そうしたデバイスの寿命は積極的に短くしていくという発想も必要なのかもしれない。

記事ではオープンソースについて触れられていたが、古くなって興味が失われた IoT デバイスのソフトウェアを、単にオープンソースにしたからといってそのパッチがすぐに有志によって作成されるとするのはナイーブだと思う。仮に古くなる前にオープンになったとしても、そのソフトウェアの規模によってはオープンソースによる活動へ滑らかなシフトが期待できない可能性もある。

とはいえ非生物に対する「寿命」の考え方として、単に物理的な故障以外の要素を検討する必要があるというのは面白い。動かなくなったらおしまい、ではなく、「これ以上稼働させるべきではない」という考え方が登場したということだ。言ってみればこれは上位の視点であって、全能者がノードを能動的に「殺す」ということになる。

一方で IoT といえど商品であり一度購入してしまえば生殺与奪は購入者にあるはずだ。購入した商品の寿命が外部的な要因によって決定されるということを受け入れることができるかどうか。財産の価値が、購入者の意思とは関係なく一方的に毀損されてしまうということが可能なのかという点は気になる。

しかしこれは IoT に始まった問題ではなく、ソフトウェアのバージョンアップについてまわる問題でもある。ある機能がバージョンアップによって使えなくなる、使いづらくなるといったことは起こりうることで、これは購入者が購入時点で得ていた価値がバージョンアップによって改変されたということになる。ネットワークに接続していないこれまでの財物では起こり得なかったことだと思う。

この寿命、今後どういった合意が形成されるのだろう。