失敗から学ぶユーザインタフェース 世界はBADUI(バッド・ユーアイ)であふれている
Amazon.co.jp: 失敗から学ぶユーザインタフェース 世界はBADUI(バッド・ユーアイ)であふれている: 中村 聡史: 本
Web で読んでいた話が書籍化されたので読んだ。
BADUI
BADUI とは「駄目インタフェース」のこと。
Web のタイトルからわかる通り、この本は「駄目インタフェース」を糾弾するものではなくどちらかというと「愛でる」スタンス。ヤレヤレと経験譚を共有し、その時の残念な気持ちに共感する姿勢だ。
個人的に特に共感したのは蛇口。どちらにひねればシャワーが出るのか、どう操作したらお湯が出るのか、新しい蛇口を前にするたびに悩むことになる。蛇口で失敗したことは多い。自宅の蛇口ですら間違えて服を濡らすことも少なくない。例えば水を出すのにレバーを倒す方式と引き上げる方式がある。これは時代によって異なるようだが、いちいち蛇口の製造年代を考えながら操作するわけでもないため、いきおい場当たり的になる。そして間違えるたびに小さな挫折感が積み上がってくる。この苦々しい気持ちが「楽しい BADUI」としてうまく昇華されている。
この本は残念な例のショウケースになっているため、読みながらこれを改善するにはどうしたらよいか考えるトレーニングになる。UI/UIX に興味があるなら楽しく読めるだろう。
以下目次から抜粋。写真が豊富なのでパラパラめくっていても楽しい。
目次
1.手がかり
- 間違った行為を引き出す手がかり
- 手がかりが弱すぎる
2.フィードバック
- 伝わらないフィードバック
- メッセージの内容の重要性
- 伝えるタイミングの重要性
- 状態・状況の可視化
3.対応付け
- 1対1の対応付け
- 距離による対応付け
- 回す方向による対応付け
- 対応付け情報の欠落
4.グループ化
- どれとどれが同じグループ?
- 似ていることでグループ化
- 線によるグループ化
5.慣習
- 形と認識のギャップ
- 色と認識のギャップ
- 様々な「普通」とのギャップ
6.一貫性
- 色い形、方向や様式の一貫性
- 順序の一貫性
7.制約
- 物理的な制約
- 様々な制約
- 使用時・不使用時の状況
8.メンテナンス
- 経年劣化による BADUI 化
- 文化の変容による BADUI 化
- 過去をひきずる BADUI 化
9.人に厳しい BADUI
- 記憶力が試される BADUI
- 心を折る BADUI
- 詐欺的な BADUI