ルールを変える思考法

Amazon.co.jp: ルールを変える思考法 (角川EPUB選書) 電子書籍: 川上 量生: Kindleストア

人の心にモヤモヤしたものを残す、フックとなるようなものを作ることで惹きつけるというのは確かにあって、ニコニコ動画が出てきたときに「何だこれ?」と思ったのはよく覚えている。当初は確実に「ギリギリアウト」な感じがあったし、そこに勢いもあった。今はやや大人しく優等生的な印象もあるけれど、電王戦のルールを矢継ぎ早に変えていくなど、新たな試みは関心を引き続けていると思う。

別の本で川上さんはボードゲーム好きだと述べられていて「ルールを変える」というのもボードゲームから来ている考え方なのだろう。ボードゲームはコンピュータゲームと違いルールが所与で不変なものではなく、ルールブックを人が読み込んでプレイヤー各位がそれに同意するという手続きが前提にある。すると解釈の相違からルールを調整する余地が生まれる。つまりどのようなルールでプレイするかということを考える余地があるということで、そこを考え抜くことで自身に有利な状況を見つけ出すという視座が得られるのだと思う。

僕なりの考えでいえば、人間が理解できるかできないかのギリギリのところにあり、なおかつ微妙に説明がつかないようなところから、ヒット作は生まれると思います。僕は社内で「ギリギリセーフではなくギリギリアウトを狙え」とよく言います。むしろ「理屈ではやってはダメなこと」をやったほうがいいのです。


僕がサラリーマンだった時代から振り返って考えてみても、本当に大ヒットする企画というものは、キックオフミーティングの段階からみんなが押し黙ってしまうようなものばかりでした。<略>逆に、みんなが「これはいけるんじゃないか」と口を揃えるようなプロジェクトでは、世の中的にはもう遅い。その時点で「いまさら」になっている可能性が高いからです。


こうして考えていけば、「ニコニコ動画がわけのわからないものであること自体が正当な意味を持っている」と理屈で説明できます。  これまで、ニコニコ動画に関しては「運営者たちはいったい何を考えているのだろう?」ということが、わかりそうでわからなかったのかもしれません。しかし、その状態を解消しようとするのではなく、維持することが大切なのです。